リード育成論 ~短命にしないための、大切な準備~

こんにちは!Throbber music school サクソフォーン講師の井場です!
サクソフォーン奏者にとって、リード最も繊細なパーツといっても過言ではありません。
ほんの少しの違いが、音色・反応・吹奏感すべてに影響を及ぼします。
しかし、多くの奏者が見落としがちなのがリードの育成です。
封を開けたばかりのリードをいきなり長時間吹いていませんか?
もしかすると、その1枚はもっと長く良い状態で使えたかもしれません。
今回は、自然素材であるケーン(葦)の特性を踏まえながら、リードを安定させ、より長く使うための方法をご紹介します。


ケーンリードについて

サクソフォーンのリードは樹脂のリードなど、新素材のリードも登場していますが、今でもケーンのリードは多くの方に親しまれています。
日本語では「葦(あし)」に分類され、一般には「ケーン(cane)」と呼ばれています。
製造段階ではしっかりと乾燥されていますが、水分を含んだときの変化や、繊維の内部構造にはまだ“安定していない”部分が残っています。
そのため新品のリードをいきなり本番レベルで使うと、繊維に無理がかかり、コシが出てくる前に繊維を損傷し、短命になります。


リード育成論

新品リードを“育てる”とは、
少しずつ吹き慣らし、リードにコシを出していき繊維を整えていくことです。
私は3日のステップを踏んで育成しています。是非1つのやり方として参考にしてみてください✨

[1日目]水分を適度に含ませ、短時間だけ吹く

  • 水(できれば人肌の温度)に1分間、リード全体を漬ける(先端を上向で)
  • 音出しは軽めに全音域を
  • 吹いた後は軽く表面をティッシュで拭い、ヒール(リードのお尻部分)に息を吹き込んで中の余分な水分も出して、あとは平らなところで完全に乾燥させる

ポイント:最初の使用で「吹きすぎない」。あくまで“リードの目覚まし運転”です。

[2日目、3日目]使用時間は合計10分くらい

  • 簡単な練習曲などを2分ほど吹いて、リードの反応を確認する程度
  • 複数枚をローテーションで使用し、完全に乾燥させてからまた繰り返します。
  • 少しずつ吹奏時間を伸ばしていきます

[その後]通常の練習で使用開始

  • 吹奏感が安定してきたら、本格的な練習や本番にも使用可
  • 週に数回の使用であれば、良い状態を数週間〜1か月以上保てることもあります

【練習後のケア】

  1. 吹いた後は水分をしっかり拭き取る
  2. 平らで通気性のあるリードケースに入れる
  3. 湿度の高すぎる環境はクールダウンにならないため、湿度を調整するグッズを使うと尚良し!(たくさんのメーカーから出ていますよ✨)

最後に

新品リードは「新入社員」のようなもの。
最初からバリバリ働くより、慣らして育てたほうが長く戦力になります。
焦らず、気長に付き合ってあげましょう。


まとめ

【良い音のために、丁寧なリード育成を】
サクソフォーンの音は、マウスピースや奏法だけでなく、リードの状態によっても大きく変わります。
新品リードをきちんと育てることは音づくりへの第一歩です。
ほんの数日、手間を惜しまずかけるだけで、そのリードが信頼できる一本になるかもしれません。是非、丁寧に向き合ってあげてくださいね✨

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