サクソフォーンの演奏に欠かせない「呼吸法」~音の源、“身体で吹く”ということ~

こんにちは!Throbber music school サクソフォーン講師、井場友哉です

管楽器の演奏において、呼吸は音の出発点であり、音楽表現の土台です。しっかり息を吸って、たっぷり吹く!と言われても、実際にどう息を吸い、どう吐けばいいのでしょうか。
今回は、演奏上の呼吸法だけでなく、呼吸のしくみそのものにも触れながら、「効率よく、音楽的に息を使う方法」を探っていきましょう。


【呼吸の仕組み】

呼吸は、「肺に空気を入れる」動作だと思われがちですが、実際には肺は自力で膨らんだり縮んだりできません。実際に動いているのは、肺を取り囲む筋肉と骨格です。


演奏に適した「呼吸の方法」

呼吸法にはいくつか種類がありますが、サクソフォーンに適しているのは腹式呼吸(または“横隔膜呼吸”)

⭐︎腹式呼吸とは

  • 肩や胸ではなく、腹と腰をふくらませる意識を持って息を吸う
  • 深く、安定した呼吸が可能
  • 長いフレーズやダイナミクスのコントロールに有利

なぜ有効?

肺の下にある「横隔膜」を下げて呼吸することで、肺にたっぷり空気を取り込めるようになります。
また、腹筋や腰筋といった柔→硬のコントロールをし易い筋肉を使用することで息を“押し出す力”も調整がスムーズになり、音量や音色の表現力が広がります。


簡単にできる!呼吸トレーニング法

※①は楽器なしで出来ます。

①椅子に座って息を吸って、スーッと吐く

  • 椅子に座り、肩の力を抜く
  • 鼻 or 口からゆっくり吸って、お腹を前に押し出すイメージ
  • 息を「スーーーーーッ」と細く長く吐く(30秒を目標に)

②ロングトーンとの組み合わせ

  • 息の出し加減で音が“揺れない”かを確認
  • 音量の変化(クレッシェンド・ディミヌエンド)で呼吸のコントロールを試す

呼吸の使い方で“音が変わる”

サクソフォーンの音量・音色・タイミングのすべては「息の質」にかかっています。

【例】

  • 楽器に対して息の角度が悪い → リードが振動しにくく音がかすれる
  • 息が遅すぎ→ 高音で音が詰まる、フレーズが続かない

つまり、「吹き方」以前に「息の入れ方・支え方」が音の質を決定づけるのです。


最後に

呼吸は“自然で自由”であっていい

演奏中は常に深呼吸できるわけではありません。短く吸うことも、浅く吹くことも技として持っておく必要があります。

重要なのは――
どんな場面でも自分の息を「自在にコントロールできる身体」をつくること。
そして何よりも、「呼吸」は“自然に”行うもの。
演奏以上に呼吸を意識し過ぎて力んでしまっては、本末転倒です。
演奏における呼吸は、ただの生理現象ではありません。
音楽を身体で感じ、届けるための“架け橋”なのです。


まとめ

  • 呼吸は肺を使うというより、「横隔膜と筋肉を使って肺を動かす」
  • 腹式呼吸が、音の安定・表現にとって有効
  • トレーニングを通して、“支える”力と“コントロールする”感覚を磨く
  • けれど最終的には「自由で自然な呼吸」が理想的

この記事を書いたのは


【サックス講師】井場友哉 Yuya Iba

1990年、静岡県掛川市出身。
尚美ミュージックカレッジ専門学校を経て、尚美学園大学を卒業。
サクソフォーンを林田和之、原博巳、レイモンド・マクモーリン、櫻井智則の各氏に師事。
大学卒業後はフリーランスとして個人や吹奏楽団体の指導を行うかたわら、カルテットやビッグバンドの演奏活動もしている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です